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サンドラ・ラモス:「芸術とは国を理解するための鋭利な道具である」

出版:2016年5月5日
「今日のキューバ:芸術、政治、経済」というテーマについて熟考しながら


サンドラ・ラモス 「あらゆるところの水は悪い環境」 1993年
サンドラより寄贈


先月、ニューヨークのNPO法人アートテーブルが「今日のキューバ:芸術、政治、経済」のテーマでパネルディスカッションを行った。とりわけパネリスト達の発表に続き、質疑応答が行われた。

さて、カルメン・エレラの新しいプレビューのあと、アートテーブルのラインナップに加えられたサンドラ・ラモスに注目したいと思う。

ラモスは長くそして素晴らしい経歴を持っており、キューバ社会で芸術が担っている役割についてだけでなく、ここ数年起こっている変化について非常に重要視してきた。

ラモスはアートテーブルで次のように英語でプレゼンを始めた。「私は自分の芸術について話をします。キューバの芸術家にとって、常に芸術は社会を語る手段であり、キューバで起こっていることについて熟考する手段であるのです」

「80年世代(1970年終わりから1980年初めにキューバで現れた現代アーティスト集団)、私の世代、90年世代から、私たち芸術家にとって芸術は公式な歴史や新聞にも明記されていないキューバ社会の抱えるテーマを表現する手段となってきたのです」

「キューバ芸術は常に国や人々の生活や歴史を理解するための鋭利な道具であり続けてきました」

1993年に発表した版画作品「あらゆるところの水は悪い環境」について話をしている際、ラモスは「移民というテーマは多くの芸術家が注目してきた非常に重要なテーマだ」ということを指摘した。さらにそこに「孤立」というテーマも加えた。また、「あらゆるところの〜」は特別な時期、ソビエト連邦が1991年に崩壊したあとの非常に厳しい経済状況が続いた時代に描いたことを語った。

この作品を見ると島の形をしている。「キューバ人は他の場所でどのように生きたらよいのか、そして変えることのできないキューバ社会を何とかして変えるにはどうしたらよいかについての問題に取り組むため、こういったものをどうにか組み合わせたできた作品です」


サンドラ・ラモス 「移動」 1993〜1994年
サンドラ・ラモスより寄贈

「移動」シリーズはラモスが1994年のハバナ・ビエンナーレのために制作したインスタレーションの一部である。が、今回は1994年の集団移住の時期に国を去った人々の人生を詰め込んだスーツケースシリーズを加えた。「面白いことにー」とラモスは続ける。「同じような移住の波は今現在も起きています。キューバ移民にとって有利なアメリカへの移住政策がじき終わってしまうのではないかという不安から起きているのです」。「多くの人が中米を経由して国を去ります。これは今だに解決できていないテーマのひとつなのです」。


サンドラ・ラモス 「日常心電図」 2006年
サンドラ・ラモスより寄贈

「この作品「日常心電図」は2006年に作りました。社会の病巣を心電図の形に彫ろうとと試みました」。このインスタレーションには移住、交通、生き方、住宅、老人問題などキューバ国民の主な不安を反映した7つのビデオも含まれる。それから10年、ラモスはこう言う。「これらの問題は今もなおキューバ人の不安であり続けているし、私だけでなく他のアーティスト達もその問題に取り組んでいます」


サンドラ・ラモス 「頭」 2007年
サンドラ・ラモスより寄贈

「私の作品はいつも政治や社会と密接な関係があります」。特に若いパイオニアを描いた絵がそうだ。「私の作品の語り手のような存在。キューバ教育について、画一性、二重の道徳観、訓育を私に語らせてくれました」。




サンドラ・ラモス 「ナルキッソス」 2012年
サンドラ・ラモスより寄贈

「最近、私は作品の中でギリシャ神話を多く引用しています。普遍的な話の中でキューバの歴史を伝えることができるからです。というのも、我々が今持つ多くの問題は歴史のあらゆる場所で遭遇し得ると考えるからです」。

「ケーキをつまむ」という版画を見せてくれた。フロリダ海峡と、アメリカに行こうとして途中で死んでしまったキューバ人と、ナルキッソスを引用した作品である。「キューバ人は非常にエゴイスティックでナルシストだと思います。そしてそのことは我々がどのように成長してきたかに影響を与えてきました」。


サンドラ・ラモス 「ケーキをつまむ」 2011年
サンドラ・ラモスより寄贈


「「ケーキをつまむ」には将来への不安を反映しています。キューバで暮らす人にとってそれは大きな不安のひとつなのです」。



サンドラ・ラモス 「90マイル」
サンドラ・ラモスより寄贈

「90マイル」は、ハバナビエンナーレ2012会期中に国立美術館で開催した個展にてラモスが発表した作品だ。「飛行機から撮った写真で作った、ハバナとマイアミに架けられた橋です」と話す。タンパとキーウェストでも作品を紹介したそうだ。



サンドラ・ラモス 「べガスランドのアリスシリーズから恐るべきカジノ」 2014年
サンドラ・ラモスより寄贈

ここ3年ほどラモスはアメリカで暮らしている。主に家族の問題が原因であるが、芸術家にとって大きな変化があったことは否めない。彼女の作品はキューバの日常生活の現実を直視し、特筆すべき側面をえぐっている。次回作では自分の新しい環境を反映することに決めたそうだ。「旅に出て写真を撮り、そのあと見たものを作品にしようと思います」



サンドラ・ラモス 「ロットドリーム」 2015年
サンドラ・ラモスより寄贈

「最近、このコラージュを完成させるために、多くのひとの裏切られた夢や期待、現実を表現する目的で友達から拾い集めた宝くじ券を使って作品を作っています」。作家活動を通じてラモスはずっと「近いものと遠いもの、あるいは富と貧困のコントラスト」を探求してきた。今でも作家にとって大変興味深いテーマとなり続けている。




サンドラ・ラモス 「パワーボール・プロジェクト」 2016年
サンドラ・ラモスより寄贈

パワーボールとはラモスの最も新しい作品のひとつであり、アメリカの政治問題として数えられる宝くじをテーマにしている。作品は島に基づいて作られているものの、ラモスは「 どこに向かっているのかさえわからない人種問題など、社会だけでなく全般的に現代の世界が抱える重要なテーマ」を探求し続けている。

アートテーブルでのプレゼンのあと、ラモスは「キューバ芸術について語る」というプログラムに参加した。1週間を通してアトリエやインタビューを訪問し、ハバナから招聘されたアーティストやキュレーター達と2日間にわたるシンポジウムが行われた。

「キューバ芸術について語る」の詳細は 今月のCuban Art Newsで閲覧できます。





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